獣医師コラム

オガタ動物病院に勤務する獣医師が、リレー形式でコラムを掲載いたします。

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第72回 慢性腎臓病の食事療法について2018年1月)

新年明けましておめでとうございます。皆様におかれましてはつつがなく新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。

 

今回のコラムでは、慢性腎臓病の食事療法についてのお話をしたいと思います。

腎臓に障害があるワンちゃんや猫ちゃんの場合、治療の中で最も重要なのは食事であると言われています。食事により尿毒症のリスクを下げることができ、適切な食事によってワンちゃんや猫ちゃんの生存期間を3倍近く延長することができると言われています。当院では腎臓病用の療法食を多数取り揃えております。しかし、中には腎臓病用のご飯を食べない場合もあります。療法食はタンパク質の含有量が少ないだけでなく、脂肪や炭水化物、ビタミン類もバランスよく添加されていて、ホームメイドのご飯で再現するのは難しいと思われます。そんな子に対しては、嗜好性の高いご飯に切り替えて、補助療法としてサプリメントを使用することで尿毒素やリンの制限を経口的に行うことも可能です。

補助療法として主に用いられるのは、活性炭やリンの吸着材です。活性炭は尿毒素の腸管吸収の阻害を目的に使用します。リンの吸着材はご飯に含まれるリンと結合し不溶化させるため、ご飯と一緒に与えることで効果を発揮します。ほかにも腸内細菌の環境を整え、善玉菌によって腸管内の尿毒素の量を減らすサプリメントもあります。カプセルタイプのものや粉状のものがあり、ご飯の風味に影響しにくい工夫もされております。

慢性腎臓病のワンちゃんや猫ちゃんの治療ではお薬を用いた治療に加えて、食事も大事な治療ポイントであり、進行を遅らせることができるということを知って頂ければと思います。その子に合った治療方法を選択することで、良好なQOLを送れるよう手助けさせて頂きますので、お気軽にご相談ください。

 

獣医師 中島昂輝